大原則: オーディオ各社や輸入代理店の広告で成り立っている商業誌としては、スポンサーの製品を露骨に貶すなんてことはまずできない。そうなると、「良いものは絶賛、悪いものでも良いところを見つけて少し褒める」が評論の原則となる。
ショウや使用機器、推薦盤などで各評論家の好みを把握して読めば、ステサンでは特に露骨だが、筆者が好みそうな機器を新製品レビューさせていることがわかる。 それ以外の特集記事では、まずは編集部や評論家が気に入った機器が特集されるので、基本的に褒めるばかりの記事となる。また、フルテストなどでは、先の原則「気に入ったものは絶賛、駄目だと思ったものは保留付で褒める」となる。いずれにしても、試聴機器はオーディオ各社や代理店からの貸し出しなので、ここでもあまり露骨なことは書けないのだろう。
ステサングランプリなどでは、誰が主に話して、誰が話していないかと言う点でチェックしてみると、その機器に対する各評論家の本音が透けて見える。ベストバイでは、二年目以降も残っている機種に注目してみる。最初の年はご祝儀もあるようだが、本音は二年目以降に現れてくると感じられる。
オーディオ誌はどうやっても、商業誌の軛から逃れられないので、よく見かける「オーディオ誌は良い悪いをはっきり書いてほしい」というのはまず不可能。それでも、機器の良し悪しは、行間を読むことで可能だ。
そんな行間の読み方の参考となれば、幸いである。