LT1115を使用したフォノイコライザーの製作
最近は、Raspberry Piによるネットワークオーディオの記事が多かったのですが、検索語句で根強く生きているのは「フォノイコライザーの自作」です。それなのに、このブログには、具体的な製作記事が一つもなかったので、LT1115(オペアンプ)+LT1010(バッファーアンプ)によるフォノイコライザーの製作記を書いてみます。なお、このイコライザーは現在もサブシステムで元気に稼働中です。
上図は、LT1115のデータシートの最初のページに載っているフォノイコライザーの回路図と、その計算値と実測値のRIAA偏差を表したグラフです。RIAA偏差は実測でも±0.2dBと良好な性能を示しています。
回路は、NF型でLT1010からLT1115の帰還部分でイコライジングしています。また、データシートの回路図には珍しく、電源に入れるパスコンも省略せずに書かれているおり8pin DIPパッケージでのピン指定まで書かれていますので、この回路図の通りにそのまま作れば、電源部以外はフォノイコライザーができてしまい、初心者でも手の出しやすい回路となっています。ここでちょっと面倒なLT1115の後ろについている定電流回路ですが、これは2mAの定電流ダイオード(E-202)で代用します。
電源は006P乾電池を2本用意して±9Vの電源をでっち上げてしまえば、実はかなり良質な音で楽しむことができます。また、オペアンプ専用電源回路キットとしてOTOMATSUから出ている安定化電源キットが割合安価で優秀です。これを別筐体に収めて、1mくらいのケーブルで回路部分と接続すれば、電源からのノイズに悩まされることもありません。
音は、かかったコストの低さからは信じられない音が出てきます。LT1115+LT1010の組み合わせは優秀だなと改めて思い知らされる音です。色気があって情報量も多いので、聴いていて楽しくなります。自作フォノアンプを作りたいのだけど、という人はまずこれを作ってみることをお勧めします。