とのじの迷宮

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フォノ・カートリッジの話 - Shure M44GとDenon DL-103R その2

 DL-103Rは、DL-103もそうですが、扱いの難しいカートリッジです。

 何しろ、これに合うトーンアームが無い。現在売られているカートリッジの中でも特にローコンプライアンスな、要は針が動き辛い、カートリッジなのでこれに合うようなトーンアームは新品ではIkeda、中古ではFRのローコンプライアンス向けトーンアーム、あるいはOrtofonのトーンアームくらいしか普通に手に入るものでは見当たりません。IkedaはFRの設計者が立ち上げた会社ですから、同じ系統なのですが。

 一般的なトーンアームは、ミドルからハイコンプライアンスのカートリッジに合わせたつくりになっていますから、そうしたトーンアームに付けても本領を発揮しない。ダンピングが効かずやけに中音が張り出して聴こえるしトレースも不安定だ、と書いている人の使っているトーンアームを見ると、SME 3009/S2impに無理やりつけていたりする。いえ、3009/S2impが悪いトーンアームと言っているのではありません。このアームはハイコンプライアンスカートリッジにあわせた作りになっていますから、ShureのV15シリーズなどとは良く合いますが、DL-103シリーズとは相性が悪すぎるのです。アナログが主流から外れて四半世紀たちますが、そうしたカートリッジとトーンアームの相性のような基本的なところが忘れ去られているように思います。

 で、ウチではローコンプライアンス向けのIkedaのトーンアームにつけて鳴らしています。そうしたトーンアームで針圧をきちんと指定通りに2.5gにして鳴らすと、トレースには全く不安はなく、その音は山奥の泉の湧き水のように新鮮で爽やかです。確かに、淡白なところはありますがそこはこのカートリッジの美点として評価するべきでしょう。

 カートリッジ選びはDL-103に始まりDL-103に終わる、と言われても納得できるだけのものが、このカートリッジにはあります。

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DENON MC型カートリッジ DL-103

DENON MC型カートリッジ DL-103

DENON MC型カートリッジ DL-103R

DENON MC型カートリッジ DL-103R