Quad44のBASS LIFTの卑怯さ
既に前々回のサブスピーカー話で、Quad44のBASS LIFTは良く効くと書きましたが、どの程度効くものか、測定結果を見てみましょう。
まずは、素の特性です。
120Hz付近にディップがあってわかり辛いですが、大体100Hzくらいからだら下がりの特性となります。小型密閉だから普通はこんなものです。これでも、30Hzで-10dB程度ですから、それなりに伸びてはいることもわかります。
それが、Quad44のBASS LIFTを1レベル上げるとこうなります。
既に前々回に出した図ですが、相変わらず小型スピーカーとは思えない特性となります。30Hzまでほぼフラット、25Hzまで出ていると言ってもいいような特性です。
それというのも、BASS LIFTを1レベル上げると、100Hzから上がり始めて20Hzで+10dBという猛烈なレベルで低域を持ち上げてくれるのです。100Hzからだら下がりのサブスピーカーに丁度合ったというところでしょう。ちなみに、Quad44のBASS LIFTは3段階あり、最大の3レベルでは40Hzをピークに+16dBと危険なくらいに低域を持ち上げてくれます。まったく、たった1レベル動かすだけでこうなるのですから、卑怯だぁ、と思わず叫びたくなるくらいです。
さて、卑怯具合がどれくらいなのかは、メインシステムのスピーカーと比べてみましょう。以下がそれになります。
相変わらず、120Hz付近にディップがありますが、これはメインスピーカーを置いている部屋とサブスピーカーを置いている部屋の大きさが7畳と6畳でほぼ同じだからでしょう。
これを見ると、まあ35Hzくらいまでは鳴っているという感じでしょうか。それでも普通のスピーカーとしてみると立派なものです。
尋常でないのは、Quad44のBASS LIFTなのです。そのおかげで、メインスピーカーよりもサブスピーカーの方が低域が伸びていることになってしまいました。卑怯なのはQuad44なのです。バスレフなどでは、こうも巧く効くことはないのでしょうが、小型密閉スピーカーということで、実に巧みにQuad44のBASS LIFTが効くのです。
まったくもって、こうした次第でQuad44はサブシステムから外すことができなくなりました。困ったものです。